Published online before print on April 12, 2005
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原論文はこちら:doi:10.1073/pnas.0501832102

Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.102, Issue 16, 5880-5885, April 19, 2005

Physiology

Nonmammalian forms of gonadotropin-releasing hormone molecules in the brain of promoter transgenic rats
Parhar IS, Soga T, Ogawa S, Ogawa S, Pfaff DW, Sakuma Y
Department of Physiology, Nippon Medical School, Tokyo 113-8602


プロモータトランスジェニックラット脳における性腺刺激ホルモン放出ホルモンサブタイプの発現
イシュワー・シン・パーハー、曽我朋子、小川 諭、小川園子、ドナルド・パフ、佐久間 康夫
日本医科大学大学院システム生理学分野

内容要旨
10個のアミノ酸から成る性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)にはホヤから哺乳類のそれぞれに特異なサブタイプが少なくとも16種報じられている。一方、単一の動物種でも脳の部位により複数のサブタイプが発現することが硬骨魚、トリ、ジャコウネズミで知られている。われわれは今回、従来から議論のあるラットでこの現象が見られるかを、GnRHプロモータによりEGFPを発現させたTgラット (Kato M et al, Endocrinology 144(11): 5118-5125, 2003 doi:10.1210/en.2003-0213) において、複数の抗体を用いた免疫組織化学により検討し否定的な結果を得た。すなわち、ラットでは哺乳類型GnRHが内側中隔と内側視索前野に分布し正中隆起と終板器官に投射する。中脳にはトリ型分子を発現する細胞体は見られない。また、サケ型、ヤツメウナギ型などを発現する細胞体にも典型的免疫反応像を示すものはなかった。一連の結果は交叉反応や抗原提示など免疫組織化学の隘路をプロモータtg法により打開できることを示した。本研究は平成16年度に発足した文部科学省の特定領域研究「性分化機構」の一環として行ったものです。