Published online before print on January 27, 2005
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原論文はこちら:doi:10.1073/pnas.0409494102
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.102, Issue 6, 2204-2209, February 8, 2005
Physiology
Three GnRH receptor types in laser captured single cells of the cichlid pituitary display cellular and functional heterogeneity
Ishwar S. Parhar, Satoshi Ogawa and Yasuo Sakuma
Department of Physiology, Nippon Medical School, Tokyo 113-8602
レーザーキャプチャーにより採取した単一の下垂体前葉細胞に発現する3種のGnRH受容体サブタイプの消長はホルモン産生細胞の種別と性成熟により決まる
イシュワー・シン・パーハー、小川 諭、佐久間 康夫
日本医科大学大学院システム生理学分野
内容要旨
私たちの研究室のイシュワー・パーハー講師と、大学院生の小川 諭君が、成長と性成熟を起す下垂体前葉ホルモンの中枢性調節に、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin releasing hormone, GnRH)ファミリー分子をリガンドとする3種の受容体が発育段階で異なった役割を担っていることを、淡水硬骨魚のティラピアで見つけました。それぞれ異なった下垂体前葉ホルモンを産生する7種の細胞を遺伝子発現から区別し、レーザーを用いて一個一個を採取して、リアルタイムPCRで3種の受容体遺伝子の転写を定量する新しい方法を開発しました。7種のホルモンのうち、雄の性成熟の前後で精子形成に必要なろ胞刺激ホルモンとなわばり行動やストレス反応に関わる色素胞刺激ホルモンの脳からの調節に変化が起りました。水産資源として重要なティラピアの生育と繁殖に直接寄与するデータで、将来的には脊椎動物の性成熟一般の理解につながると考えています。また、本研究で用いた方法は、がん細胞の遺伝子発現の研究など、広く応用できます。本研究は今年度(平成16年度)発足した文部科学省の特定領域研究「性分化機構」の一環として行ったものです。